UMAとは“Unidentified Mysterious Animal”という和製英語で
目撃情報はあるもののその真偽は確認されていない「未確認生物」の事です。
例えばツチノコ・ビッグフット・イエティなどです。
しかし、そんなUMAも一度発見されてしまえば
新種の生物として扱われます。
現在、当たり前に存在している動物の中にも、ひと昔前までUMAとして
扱われていたものが数多くいます。
今回は、実際に発見され未確認生物ではなくなった動物たちを紹介します。
ゴリラ
現在は動物園でなじみ深い動物ですが、現地の人間には知られていたものの19世紀までは
フランス系アメリカ人の探検家ポール・デュ・シャイユにその姿が目撃されるまでは
世界的には実在しない空想上の未確認生物だと考えられていました。
当時、アフリカのジャングルはまだ未知の領域であり、生息地がジャングルの奥地で
警戒心が強いことから発見が遅れることになりました。
また、紀元前5世紀頃から航海者の間ではゴリラの存在が語られていたようで
中にはゴリラを人間だと思い込み意思疎通を図ろうとした者もいたらしいのですが
多くの動物学者たちがゴリラの存在を否定したため、新種発見に向けての
入念な調査が行われることはありませんでした。
しかし、探検家ポールがゴリラの死骸をアメリカに持ち帰ったことで存在が証明され
多くの動物学者がゴリラの生息地に興味を持つようになり
それまで未開拓だったアフリカのジャングルの調査が行われるようになりました。
発見以来、長年に渡って凶暴な動物であると誤解されてきましたが
意外に繊細でストレスの弱く、神経性の下痢にかかりやすいらしいです。
イリオモテヤマネコ
現在は西表島に生息し、日本の特別天然記念物に指定されているイリオモテヤマネコ。
発見されたのは1965年と、ごく最近の事です。
現地の人々には度々目撃されていたものの、正体不明の生き物とされてきました。
20世紀に入ってから見つかった中型以上の哺乳類はかなり珍しく
当時は大発見と大きく取り上げられました。
イリオモテヤマネコはネコ科の原始的特徴を持っていると考えられ
ベンガルヤマネコの亜種とされています。
約300万年前に大陸から渡ってきたのであろうと推測されています。
ダイオウイカ
2013年に公開されたダイオウイカの映像が話題を呼んだことや
2021年に生きたダイオウイカが捕獲された事は記憶に新しいです。
ダイオウイカは今までの発見例からすると、触腕を含めて7m以上ある個体が確認されていて
また、最大のものになると全長が10mを超えるそうです。
その巨体から、「クラーケン」の名で恐れられていた伝説の海の怪物のモデルとされています。
深海に生息するダイオウイカは目撃情報は少なく
在までに捕獲されているダイオウイカの性別は全てメスで
オスの個体は未だに見つかっていないそうです。
2003年にはダイオウホウズキイカと呼ばれる新種の巨大イカの幼体が南極海で捕獲され
現在までに成体は確認されていませんが、成熟したダイオウホウズキイカの個体に至っては
全長が20mを超えると考えられています。
コビトカバ
1800年代中期、最初の発見報告はリベリアで
「ヤギくらいの大きさしかないカバがいる」とフィラデルフィア・アカデミー
(現在のペンシルベニア大学)の副会長を勤めていた
サミュエル・ジョージ・モートンへ伝えたのが初とされています。
後に頭骨2つが同大学に輸送され、モートンを経由して受け取った
ジョセフ・リーディーが単なるカバの小型種ではなく祖先形だと気付きましたが
当時の学会関係者の多数はカバの奇形だと断言し、この説を認めませんでした。
その後も発見事例や調査報告
(コビトカバだとは知らないままの)飼育事例もありましたが
学会からは依然として奇形扱いされ、これは20世紀前半まで続くこととなります。
その後、ドイツの動物商であるカール・ハーゲンベックが
動物コレクターのハンス・ションブルグの支援を受けながら1910年から捜索を行い
1913年に生きた個体の捕獲に成功し、単なる小型のカバではなく
先祖形だと判明して存在が認められました。
一般的なカバが3~4m前後の巨体であるのに対し
150cm程度のコビトカバはカバの子供に見えるサイズです。
生息地では食用や歯を目当てに乱獲が進み、個体数は激減しているそうです。
新種発見と同時に絶滅危惧種とはとても悲しいですね。
セイウチ
北極ではお馴染みのセイウチも、長い間未確認生物とされてきました。
最大1tを超える巨体に大きな牙は、像の牙を彷彿とさせることから
13世紀頃には「クジラゾウ」とも呼ばれていました。
漢字では「海象」と書きます。
長い牙と巨体から、獰猛で危険な生物と考えられていました。
しかし実際は貝や甲殻類などを食べ、刺激しない限りは
むやみに襲ってきたりはしないとされています。
北極圏の沿岸地帯および氷縁部に生息します。
冬季でもポリニヤで生息し、特に南に移動しませんが
三重県沖で捕獲されたことがあります。
かつてはカナダのセントローレンス湾、サーベル島近海
ノバスコティア海岸にも生息していましたが
18~19世紀における肉と皮を目当てとした乱獲で、この地域の個体群は絶滅しています。
カモノハシ
ビーバーのような体に鳥のようなクチバシ。
愛嬌のある顔から、キャラクターグッズになったりもするカモノハシも非常に珍しい動物です。
カモノハシがヨーロッパ人によって最初に発見されたのは1798年で
カモノハシの毛皮(はく製)やスケッチが第2代ニューサウスウェールズ州総督であった
ジョン・ハンターにより、グレートブリテン王国へ送られました。
発見当初、イギリスの研究者のたちは、この標本が模造品であると考えていました。
1799年にこの動物について最初に記載をおこなったジョージ・ショーは
「それが本物であることを疑わずにはいられない」と主張し
ロバート・ノックスはアジア人の剥製師による模造品と信じていたという。
誰かがビーバーのような動物の体にカモのくちばしを縫い付けた物であると考えられ
ショーは縫い目がないかを確認するため、毛皮に切り込みを入れ
模造品ではないことが判明しました。
繁殖形態は哺乳類では非常に珍しい卵生であることもその希少性がうかがえます。
カモノハシのメスの遺伝子を解析すると
哺乳類・鳥類・爬虫類の遺伝子が混じり合っているそうです。
パンダ
今でこそ動物園のアイドル的存在の動物であるパンダですが
世界的に知られるようになったのは19世紀に入ってからとされており
中国の山林奥地で発見されるまでは、実在しない空想上の生物とされていました。
1869年にフランス人の宣教師が中国を訪れた際
地元の猟師が持っていたパンダの毛皮を発見し
パンダの毛皮と骨を送ったことで実在が証明されたそうです。
しかし、その存在が確認されると毛皮目当ての乱獲が始まり
その結果20世紀にはパンダは絶滅の危機を迎えます。
1900年代に入り、中国政府が外交のカードとしてパンダを使うようになると
「国家一級重点保護野生動物」に指定され、保護されるようになりました。
その為現在ではパンダの狩猟は重罪扱いになっており
過去には捕まった捕まった密猟者に死刑宣告が下されたこともあるのですが
現在では法律が改正され、パンダの狩猟は最高で20年の懲役刑が科されるそうです。
また、パンダと言えば笹を食べる姿が印象的ですが、パンダはあくまで熊であり
雑食でもあるため、稀に人里に降りて家畜を食い殺す事件が発生するなど
機会があれば生肉も食します。
また、クマ科特有の気象の荒い一面も持っていて
動物園の飼育員や見物客などが襲われる事件が過去に何件も発生しています。
イッカク
イッカクの棲む海域はヨーロッパの人々にとってはあまりにも北であったため、
19世紀までは伝説上の動物でした。
イヌイットとの交易を通してのみ、イッカクの存在が伝わっていました。
イヌイットの間では、ある女性が銛にしがみついたまま海に引きずり込まれ
その後、女性はシロイルカにくるまれ、銛は牙となり
それがイッカクとなったという伝説が伝わっています。
漢字では「一角」とも書き、その名の通りオスは一本の長い角を持っています。
これは左側の切歯(せっし)が長く伸びたもので、角ではなく歯です。
中には神経が通っていて、左ねじ方向のらせん状の溝があります。
この牙の役割については多くの議論が交わされてきましたが
近年の研究で、高度な感覚器という事が明らかになりました。
この牙を高く空中に掲げることにより、気圧や温度の変化を敏感に感じ取り
適した生存環境への移動を助けます。
また、大きな牙を持つオスは、メスを惹きつける効果もあるそうです。
ゾウの牙と同様に、イッカクの牙は一旦折れてしまったら再び伸びることはありません。
コモドオオトカゲ
「コモドドラゴン」とも呼ばれており、20世紀に発見されるまで
東南アジアでは伝説上の生物でした。
発見前は小スンダ列島に全長7mに達する・スイギュウを倒す・火を吐く(舌を出す)オオトカゲや陸棲のワニが生息するとされていましたが詳細は不明でした。
一方で少なくとも1840年にはスンバ島の首長が本種に関する記録を残していました。
1910年にコモド島に不時着したオランダ人の航空機操縦士による目撃情報や
同年に全長2m以上の個体が射殺されたことにより本種の詳細が判明しました。
非常に危険な爬虫類として知られており、体長3mにも達する巨体とは裏腹に、時速20kmと
とても素早い動きで獲物に襲い掛かります。
口には鋭い歯が並んでいて、一本一本がノコギリ状になっており
簡単に肉を切り裂いてしまいます。
また、その歯の間に毒管があり、唾液を介して血液が固まらなくなる毒を獲物に流し込み
失血によるショック状態にして獲物を捕食します。
その獰猛さから、観光客や子供が襲われる事件が何件も起こっています。
家畜が襲撃された例もあるそうです。
オカピ
アフリカの旧ザイール北部の森林に生息するオカピは
1901年、イギリスの探検家ハリー・ジョンストンによって公式に発見されました。
一見、馬やシマウマのように見えますが、キリン科の動物です。
優し気なその瞳と優雅な姿から「森の貴婦人」とも呼ばれています。
馬のように群れを作らず、単独か親子で生活しています。
また、オカピはキリンの先祖に近い動物であることが分かっています。
森林で暮らしていたオカピの仲間から草原に適応したものが現れ
現在のキリンの仲間に進化していったと考えられています。
実際、キリンはオカピに比べて首が長く体も大きく
集団で生活するなど草原の生活によく適応しています。
長い舌を伸ばして木の葉や草をちぎって食べます。
森林伐採や宅地開発による生息地の破壊、食用や皮革用の狩猟などにより生息数は減少していて
コンゴ民主共和国では法的に保護の対象とされています。
リュウグウノツカイ
太平洋・インド洋・大西洋など世界各地に分布しており
深海200~1000mの深さを泳いで生活しています。
体長3~11mという巨体と全身が美しい銀白色に覆われている神秘的な見た目から
日本では「竜宮から来た使いのような生き物だ」ということで
この和名が付けられました。
リュウグウノツカイはそのインパクトの強い外見から
西洋諸国におけるシーサーペント(海の大蛇)など
世界各地の巨大生物伝説や、日本における人魚伝説の元になったとも考えられています。
ヨーロッパでは「ニシンの王 (King of Herrings)」と呼ばれています。
シーラカンス
シーラカンス目は、白亜紀を最後に化石が途絶え
長らく6500万年前に全て絶滅したものと考えられていましたが
1938年、南アフリカの北東海岸沖で現生種の存在が確認され
学界および世界を騒然とさせました。
その後、1952年にはインド洋コモロ諸島で同じ種類が発見され、
1997年にはインドネシアのスラウェシ島近海で別種のシーラカンスが確認されました。
1938年に至るまで現生種が確認されなかったこと
化石種と現生種の間で形態的な差異がほとんど見られないことなどから
これら2種は「生きた化石」と呼ばれています。
まとめ
今でこそ人類は地球上のほとんどを踏破していますが
継続して長期間の調査ができない厳しい環境の場所がたくさんあります。
特に世界の海は未だに95%が未解明だと言われていて
深海に至ってはどんな新種がいても不思議ではありません。
現在、未確認生物と呼ばれている生物の中にも
実際に存在している生き物がいるかもしれません。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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