皆さんは『シャチ』にどのようなイメージを持っているでしょうか?
水族館のショーでダイナミックな演技を見せたり
見た目が可愛らしく、水族館のアイドルでもあり
自然界でもイルカと同様、人間に友好的なイメージがあると思います。
しかし、一方では「海の王者」「海のギャング」とも呼ばれ
その名の通り、海では食物連鎖の頂点に君臨するほど強い力を持っています。
そして、そんなシャチも
時として人間に牙をむくことがあります。
今回は、シャチが起こした事件や事故を紹介します。
スペイン海軍ヨット襲撃事件
2020年9月、海外メディアが報じたニュースで
スペインとポルトガルの近海において、シャチの群れが出没しており
この周辺では度々ボートとシャチが接触する事故が報告されていて
注意が呼びかけられていました。
当初は不注意による接触事故だと思われていました。
しかし、2ヵ月経過しても事故は減るどころか
同じ個体と思われるシャチが現れ、接触事故が起こり続けました。
実は、この同じ個体と思われるシャチはたまたまボートに接触したのではなく
意図的にボートを襲撃するシャチだったのです。
普通の野生動物やシャチであれば、人間やボートなどを警戒して
近付いてくるという事はまずないのですが
このシャチに関しては非常に攻撃的で
ボートを見つけた瞬間、一目散に攻撃を仕掛けてくるようです。
スペイン沖で発生した事故によると
スペインからイギリスに向けて航海をしていたボートが突如出現したシャチに襲われ
少なくとも15回は巨大な尾びれで船体を攻撃されたことで航海は中止となり
修理のために港まで戻ることになりました。
この海域では既に2隻のボートが失われ
少なくとも一人の乗組員が事故の衝撃による打撲を負いました。
【シャチが攻撃をする様子】
イギリスの鯨類保護団体は、この頻発している一連の問題に対して
「シャチは好奇心が非常に強い動物です。
しかし、通常人間に対して害を及ぼすことはありません。
おそらく群れの中の一頭が非常に攻撃的な性格をしているのでしょう。
これは非常に珍しく、とても心配な行動です。」
と、コメントしています。
シャチがこのように攻撃的になった具体的な理由は判明していませんが
この海域では、ボートの交通量が多く漁業も盛んな地域で
エンジンなどの音によるストレスによるものなのか
何か人間やボートに対して強い憎しみを抱いている可能性があるのではないか
研究者は述べています。
スペイン当局では、このシャチの異常行動を注視し
周辺のボートは発見次第、距離を置くように注意を呼び掛けています。
3人の命を奪ったシャチ『ティリクム』
1983年にアイスランド沖で幼い子供のシャチが捕獲されました。
この幼いシャチが、のちの「ティリクム」です。
通常シャチは血のつながった者同士で群れを形成します。
つまりティリクムは人間の身勝手によって
無理やり両親や兄弟、親戚から引き離されたのです。
シャチは知能の高い動物なので
もしかしたらこの時のことをずっと覚えていたのかもしれません。
その後、ティリクムはカナダのコロンビア州にある
太平洋シーランドという水族館に移動されました。
この水族館でティリクムは大人のシャチ2頭がいる水槽に入れられました。
そして、この2頭のシャチは後から入ってきたティリクムを虐めるようになりました。
そのためティリクムは、小さな治療用のプールへの非難を余儀なくされ
調教師が守ることもありました。
また、シャチが同じシャチを虐めるといったことは非常に珍しいそうです。
一人目の犠牲者
1991年2月20日、水族館でアルバイトをしていた21歳の女学生が
足を滑らせてティリクム、ハイダ2号、ヌートカ4号の
3頭シャチがいる水槽に落ちてしまいました。
3頭のシャチは彼女を引っ張ってプールをグルグル回ったり
浮上しようとする彼女を水中に引きずり込んだりして妨害したそうです。
他の調教師たちは彼女の悲鳴に反応して浮き輪を投げました。
しかし、シャチたちは彼女を浮き輪から遠ざけ続けました。
彼女は一度、岸にたどり着けたそうです。
しかし、岸に上がろうとした時
3頭のシャチが騎士側から彼女を再びプールに引きずり込みました。
この事故はプールを取り巻いてシャチを見ていた観客の目の前で起こりました。
彼女は3回浮上して悲鳴を上げたのち、溺死してしまいました。
ちなみに、ティリクムはオスで残り2頭のシャチはメスであり
この2頭のメスは当時妊娠していたらしく
このことに調教師たちは誰も気づかなかったようです。
ティリクムは1992年1月9日に
アメリカのフロリダ州にあるシーワールドへ移送されました。
太平洋シーランドはその後間もなく閉業となりました。
二人目の犠牲者
1999年7月7日、27歳の男性が
ティリクムの背中の上で亡くなっている状態で発見されました。
彼は前日にシーワールドを訪れ、閉園後にセキュリティをくぐって
シャチの水槽に侵入したようです。
その際に何があったかは不明ですが、死体に数多くの裂傷、打撲傷、擦り傷が全身にあり
死因は溺死とされました。
しかし、人間に対して友好的とはいえ
海のギャングとも呼ばれるほど凶暴なシャチの水槽に無断で侵入したこの男性にも
責任はあったのではないでしょうか。
第三の犠牲者
2010年2月24日、ティリクムと14年歩調を合わせた
40歳のベテラン調教師ドーン・ブランショさんは
シャチの曲芸ショーが終わった後、事故に巻き込まれました。
ショーの後のルーチンとしてブランショさんがティリクムをなでていた時
ティリクムは彼女の左腕、もしくは髪を噛んで水中に引きずり込みました。
十数人の客がティリクムと一緒に水中にいるブランショさんを目撃し
職員はティリクムの気を引くために網を使ったり
餌をティリクムに向かって投げたりしたそうです。
職員らは、ティリクムを落ち着かせるために組合さったプールを次々に移動させて
ティリクムを小さな治療用のプールに誘導しました。
その後ティリクムは落ち着くと、ブランショさんを口から放しました。
ブランショさんは既に亡くなっており
死因は溺れた事と鈍い力による外傷でした。
また、脊髄が切断され、顎の骨、肋骨、頸椎が骨折していました。
頭皮は頭から完全に剥がされており、左腕は肩の下あたりで切断されていました。
また、ティリクムは朝から機嫌が悪く
「命令に従わない」という報告もあったそうです。
その後
ティリクムは2011年3月30日にショーに復帰しました。
2016年3月8日、シーワールドは
ティリクムの健康が悪化し始めている懸念を公表しました。
彼らはティリクムが肺感染症にかかっていると見て治療を続けていると述べた。
感染している細菌は、稀なもので、抗生物質への耐性があり、回復は未だ見られないという。
「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」は
ウェブサイトの “SeaWorld of Hurt” における声明の中で、今回のニュースに対して
「30年前に海から盗まれたティリクムが、再び海を見ることができないとしたらシーワールドの手は、悲惨なコンクリートでできた刑務所水槽の壁は彼の血で塗れることになるだろう。」
と言及しました。
2016年5月、ティリクムの健康状態が改善していることが発表されましたが
2017年1月6日、シーワールドはティリクムが早朝に死亡したと発表しました。
死因は細菌感染であったそうです。
幼い頃から親と引き離され、亡くなるまで狭い水槽の中で過ごしたティリクム。
彼はただ遊んでいただけだったのでしょうか。
それとも・・・。
シャチ競技中に発狂、調教師が襲われ死亡(ドイツ)
詳細は不明ですが、ショーの最中シャチが暴れ
調教師を水に沈める行為を繰り返したようです。
そして数分後、壁に叩きつけて、調教師は流血、出血多量により死亡しました。
このシャチは野性のシャチで、捕獲されてから半年で水族館に行き
その後まだ1ヶ月程度しか経ってないなかったそうです。
まとめ
今回は、シャチが起こした事件や事故を紹介しました。
イルカ同様、人間に対して友好的と言われていますが
元が海洋生物最強の動物である以上、様々な要因があるとは思いますが
絶対に人を襲わないという保証はありません。
シャチのティリクムに関してはドキュメンタリー映画化もされているので
興味がありましたら是非一度ご覧になってみてください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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