皆さんは「ハイエナ」にどんなイメージを持っていますか?
テレビやアニメなどの中では、
よく「とても卑怯で獲物を横取りする卑しい動物」として扱われています。
しかし、実はこれは事実とは異なります。
今回は、我々が持っているハイエナへの大きな誤解を解くとともに
あまり知られていない驚くべき生態を紹介します。
ハイエナの種類
ハイエナは、見た目がとても犬に似ていますが
系統としては食肉目ハイエナ科という犬とは全く関係なく(イヌ科ではない)
マングース科やジャコウネコ科に近い動物です。
現在確認されているハイエナは
- ブチハイエナ
- シマハイエナ
- カッショクハイエナ
- アードウルフ
の4種類です。
これらのハイエナはアフリカ大陸を中心に、インドや中東に散らばって生息しています。
ライオンより狩りが上手い
ハイエナと聞いて最初にイメージするのは
「他の動物の獲物を横取りする」ことだと思います。
しかし、これは間違いでハイエナは自分たちの食べる食料のほとんどは
自ら狩りをすることで入手しています。
狩りの成功率は、ライオンが約30%程度なのに対し
ハイエナは約60%と非常に高い確率で獲物を仕留めます。
よくテレビや写真などで、
「ライオンの獲物をハイエナが狙っている」
ような光景を目にしますが、実はあれは
「ハイエナの獲物をライオンが横取りしてそれを取り返そうしている」
場面だったりするのです。
狩りの成功率から見ても、
ライオンの方がハイエナの獲物を横取りしている可能性が高いのです。
横取りなどしていないのに人間の勝手な先入観で
「横取りしている」と悪者のレッテルを貼られているのです。
サバンナの掃除屋
ハイエナは、自分たちが仕留めた新鮮な肉を好んで食べますが
他の動物に狩られて捨てられ、腐敗した死骸の肉も食べます。
腐敗が進んだ死肉を食べる動物は多くはありませんが、ハイエナのほかにも
ハゲワシやジャッカルも死肉を好んで食べます。
このような死骸を食べる動物は
「清掃動物」「スカベンジャー(腐肉食動物)」と呼ばれています。
ハイエナの場合、死肉だけではなく
他の動物が嚙み砕くことのできない硬い骨までも
強力なあごを使ってバリバリと食べてしまいます。
ブチハイエナのあごの力は哺乳類の中では最強クラスで
噛む力はなんと450kgもあります。
このあごの力で獲物を骨まで全て食べ尽くしてしまいます。
ちなみに骨まで食べたハイエナは糞も真っ白になります。
鳴き声が人間の笑い声
ハイエナの鳴き声は人間の笑い声のように聞こえます。
そのため、英語圏ではブチハイエナを「ラフィンハイエナ(笑いハイエナ)」
とも呼ばれています。
ハイエナは12種類の鳴き声を使い分けて
コミュニケーションを取ると言われています。
笑い声のような声をあげているときは、ライオンや他のハイエナなどと出会って
警戒しているときです。
ハイエナのオスは弱い
ハイエナは「クラン」と呼ばれる群れを作る動物で
その数は20~30頭、多いものでは100頭を超えることもあります。
多くの動物は、オスのほうがメスより体が大きいのですが
ハイエナの場合は逆に体の大きさも強さもメスのほうが上なのです。
そのため、群れを率いるリーダーもオスではなくメスになります。
ハイエナの世界では群れ全体を通じて、メスの権力がとても強く
最も高いランクのオスであっても、一番ランクの低いメスより地位は低く
立場も弱いのです。
メスにもペニスがついている
メスのほうが大きく強いハイエナですが、
何故かオスのペニスのようなものがついています。
これは「擬ペニス」と呼ばれるものですが、飾りではなく
オスと同じくおしっこもこのペニスから出し、なんと勃起までするそうです。
それどころか交尾もオスのペニスをメスの擬ペニスに差し込んで行い
なんと赤ちゃんもここから産まれます。
何故、メスにもこのようなペニスがあるのかは今もハッキリわかっていません
メスが強いハイエナの社会性が関係しているとも言われていますが
未だに謎に包まれています。
ハイエナは子煩悩
力も、体の作りもオスよりオスらしいメスハイエナですが
自分の子供はとても熱心に育てます。
子供を産んだメスハイエナは、2年もの長い間
カルシウムがとても豊富な母乳を子供に与え続けます。
そして、1日に何時間も子供たちと一緒に過ごして遊んであげたりします。
まさに「母は強し」という言葉が似合う動物です。
まとめ
今回はハイエナについて解説しました。
作られたイメージから酷いレッテルを張られてしまっていますが
ハイエナは決して卑怯で卑しい動物ではなく
それどころかライオン以上の屈指のハンターであり
サバンナを綺麗にする掃除屋でもあります。
皆さんもハイエナに対するイメージが変わったのではないでしょうか?
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!