皆さんは山菜や野菜は好きですか?
セリやノビル(ノビロ)のような食べれる野草を採取したり
中には家庭菜園で野菜や山菜を育てている方も居ると思います。
しかし、中にはそれらによく似た有毒植物・毒草も存在します。
今回は、山菜・野菜と間違えやすい有毒植物を紹介します。
スイセン
![](https://raidenentertainment.com/wp-content/uploads/2021/07/5192129_s.jpg)
スイセンはヒガンバナ科の植物で
イベリア半島を中心に、イギリス、ヨーロッパ中部、北アフリカを含む
地中海沿岸地域に25~30種が自生します。
房咲きスイセンをはじめとした一部の品種はギリシャから中国にまで分布し
日本にも野生状態で生育しています。
観賞用としても良く植えられている多年草ですが
ニラ・ノビル・アサツキに見た目がよく似ており
食べてしまうと激しい嘔吐を引き起こします。
また、球根部分の毒成分が非常に多く、過去に死亡例もあります。
見分け方
スイセンの葉には臭いがなく、ニラには特有の強い臭いがあります。
また、スイセンの葉は中央が浅くくぼんでおり、ニラは平たくやや厚みがあります。
そしてニラは鱗茎・球根はありませんが、スイセンには鱗茎・球根があります。
ドクゼリ
![](https://raidenentertainment.com/wp-content/uploads/2021/07/1136363_s.jpg)
ドクゼリはセリ科ドクゼリ属の多年草で
日本では、北海道、本州、四国、九州に広く分布し
水辺、湿原に生育する多年生の抽水植物です。
ユーラシア大陸にも広く分布します。
セリに比べて全てが大型で、成長すると草丈は80~100cmになりますが
春先の葉の形状が食用のセリとよく似ている上に
生育環境も共通しているため、春先の若葉をセリと間違って摘み
中毒する者が後を絶たちません。
食べてしまうと呼吸困難、痙攣、嘔吐、意識障害などを引き起こし
最悪の場合死に至ることもあります。
また、地下茎をワサビと間違えて食べてしまい死亡した例や
かゆみ止めに使用しての死亡例も報告されています。
見分け方
セリは草丈10~15cmくらいで、花期でもせいぜい30cm程度にしか成長しません。
ドクゼリは芽出しからすでに大きく、長い葉柄が目立ち、花期には1mに達します。
ドクゼリはセリに比べて大型化するため、成長した後は非常に見分けやすいです。
また、セリは葉に特有の香りがありますがドクゼリにはありません。
セリは地下茎を持ちませんが、ドクゼリはまるでワサビのような太い地下茎があります。
スズラン
![](https://raidenentertainment.com/wp-content/uploads/2021/07/4882877_s.jpg)
スズランは、スズラン亜科スズラン属に属する多年草の一種で
北海道などで山菜として珍重されるギョウジャニンニクと外見が似ていて
誤って食べてしまい中毒症状を起こす事があります。
食べてしまうと嘔吐、頭痛、めまい、心不全、血圧低下、心臓麻痺などの症状を起こし
重症の場合は死に至ります。
見分け方
スズランの葉はギョウジャニンニクに比べると太いですが
成長度合いによって両方とも同じような形状になるので判別が難しいです。
スズランとギョウジャニンニクの一番の違いは『におい』です。
ギョウジャニンニクは独特な強いニンニク臭がしますが、スズランからはにおいません。
また、ギョウジャニンニクの根はラッキョウのように膨らんでいます。
ちなみに花は全くの別物です、
トリカブト
![](https://raidenentertainment.com/wp-content/uploads/2021/07/4154522_s.jpg)
トリカブトは、キンポウゲ科トリカブト属の総称で
有毒植物の一種として知られています。
ドクウツギやドクゼリと並んで日本三大有毒植物の一つとされ
トリカブトの仲間は日本には約30種が自生しています。
芽吹きの頃にはニリンソウ、ゲンノショウコ、ヨモギ、モミジガサなどと
外見が似ているため、誤食による中毒事故が起こります。
飲食店で野草(モミジガサ)のおひたしとして出されたトリカブトを食べてしまい
緊急搬送されるという事件も起きました。
食べてしまうと嘔吐、呼吸困難、臓器不全、痙攣、心臓麻痺などで
死に至ることもあります。
致死量は0.2グラムから1グラムと非常に少量です。
見分け方
ニリンソウは地上部の茎の一カ所から葉が出ていますが
トリカブトは茎に葉が交互につきます。
モミジガサの芽生えには葉の表面に細かい毛が生えていますが
トリカブトの葉に毛はありません。
また、モミジガサの葉はてのひら状、基部まで切れ込みません。
なお、新芽の時期は見分けるのが非常に困難です。
バイケイソウ
![](https://raidenentertainment.com/wp-content/uploads/2021/07/baikeisou0166.jpg)
バイケイソウは、ユリ科シュロソウ属に属する多年草で
日本では北海道、本州、四国、九州の山地から亜高山帯にかけての
林内や湿った草地に分布します。
芽生えの姿が、山菜のオオバギボウシ(ウルイ)や
ギョウジャニンニクとよく似ているため、毎年のように誤食して
中毒を起こす事例が起きています。
食べてしまうと血管拡張から血圧低下を引き起こし
重症になると呼吸麻痺や意識喪失を起こして死に至ることもあります。
見分け方
バイケイソウ類とウルイの違いのひとつは、「長い柄があるかどうか」という点です。
ある程度の大きさまで育ったウルイの場合は、葉の大きさに対して
十分な長さの柄がありますが、バイケイソウは葉が大きく育っても
ウルイのような長い柄ができません。
また、ウルイの葉は中央に太い葉脈があり、そこから左右に葉脈が走っているのに対して
バイケイソウは中央に太い葉脈はなく、葉の付け根から平行に
縦に向かって葉脈が走っています。
チョウセンアサガオ
![](https://raidenentertainment.com/wp-content/uploads/2021/07/2792000_s.jpg)
チョウセンアサガオは、ナス科の一年草の植物です。
原産地は南アジア。日本へは、江戸時代(1684年)に薬用植物としてもたらされ
現在は本州以南で帰化・野生化したものが見られます。
根をゴボウと間違える事例が多くあり、つぼみをオクラ
種子をゴマと間違えて食べた事例もあります。
食べてしまうと嘔吐、瞳孔散大、呼吸の乱れ、痙攣、呼吸困難などを引き起こします。
見分け方
チョウセンアサガオの根はゴボウのようなしなやかさはなく
もろく折れやすいのが特徴です。
また、葉は交互または対生(向かいあって付く)状に付き
地際に束生する葉(根生葉)はありません。
そしてゴボウの花はアザミのような花なのに対して
チョウセンアサガオはその名の通り、アサガオのような花を咲かせます。
ヨウシュヤマゴボウ
![](https://raidenentertainment.com/wp-content/uploads/2021/07/1209655_s.jpg)
ヨウシュヤマゴボウは、ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草で
別名はアメリカヤマゴボウです。
別名の通り北アメリカ原産で、日本では明治時代初期以降に
各地で繁殖している帰化植物です。
実からは紫色の強い染料のような果汁が出るので
これで遊んだことがある方も居るのではないでしょうか?
本種を食用のヤマゴボウと勘違いして採取し、根を誤植してしまう事例が多くあります。
食べてしまうと吐き気、嘔吐、下痢などを引き起こします。
見分け方
食料品売り場などで見かけるお漬物のヤマゴボウは、キク科のモリアザミなどの根で
ヨウシュヤマゴボウとはまったく無縁の植物です。
ヨウシュヤマゴボウには大きな根茎と太い根がありますが
若い根や細い根はゴボウに似ています。
みずみずしくて柔らかく、ゴボウのような繊維質ではありません。
ハシリドコロ
![](https://raidenentertainment.com/wp-content/uploads/2021/07/hasiridokoro7056.jpg)
ハシリドコロは、ナス科ハシリドコロ属の多年草で
日本の本州から四国・九州にかけて分布します。
新芽をフキノトウやオオバギボウシなどの山菜と間違えるて採取する事例があります。
摂取した人間が幻覚などを起こし、苦しんで走り回ることからこの名前が付けられました。
食べてしまうと嘔吐・下痢・血便・瞳孔散大・めまい・幻覚などを引き起こします。
見分け方
ハシリドコロの芽は、フキノトウと違って綿毛がなく、ツルツルしています。
また、フキノトウの芽の中にはつぼみが詰まっていて球のような形状ですが
ハシリドコロの芽の中は、葉が重なっているだけです。
さらに、ハシリドコロはフキノトウのように強い香りがなく
弱い香りがほんのりする程度です。
フキノトウ(フキの花)と違って、つぼみのすぐ下に根が生えているのもポイントです。
ドクウツギ
![](https://raidenentertainment.com/wp-content/uploads/2021/07/1136378_s.jpg)
ドクウツギはドクウツギ科ドクウツギ属の落葉低木で
トリカブト、ドクゼリと並んで日本三大有毒植物の一つとされています。
北海道・本州(近畿以北)の山地、河川敷、海岸の荒地などに自生しています。
実は美しく、甘みもあるので食用と間違える事故が多発しています。
猛毒で人が食べると
嘔吐、痙攣、呼吸困難に陥り死に至ることも多いです。
見分け方
ドクウツギはあまり群生せず、点々とまばらに生える傾向があります。
根本から細い枝がたくさん出ていて、左右対称に15対ほどの葉が
まとまって鳥の羽のような形状です。
葉の形は細く、一見ウツギと似ていますが、ドクウツギの方が表面にツヤがあります。
また、ウツギは1本の主脈から側脈が出ているのに対し
ドクウツギは3本の主脈がはっきりしている点も見分け方のポイントです。
ジギタリス
![](https://raidenentertainment.com/wp-content/uploads/2021/07/1622329_s.jpg)
ジギタリスは、オオバコ科ジギタリス属の総称で
地中海沿岸を中心に中央アジアから北アフリカ、ヨーロッパに
20種あまりが分布しています。
一・二年草、多年草だけでなく、低木も存在します。
庭で観賞用として栽培されたり、野生化して里近くの荒地などに自生していますが
葉がコンフリーと酷似するため、コンフリーと間違えて食べてしまう事があります。
食べてしまうと不整脈や動悸などの循環器症状、嘔気、嘔吐、胃腸障害、下痢
頭痛・めまいなどの神経症状、視野が黄色く映る症状(黄視症)を引き起こし
重症になると心臓機能が停止して死亡することがあります。
見分け方
実は近年、コンフリーも過剰に摂取すると
肝障害を引き起こすピロリジジンアルカロイドという毒を含むことがわかりました。
なのでコンフリーであっても食べない方が良いでしょう。
フクジュソウ
![](https://raidenentertainment.com/wp-content/uploads/2021/07/3508535_s.jpg)
フクジュソウは、キンポウゲ科の多年草で
フクジュソウ・ミチノクフクジュソウ・キタミフクジュソウ・シコクフクジュソウ
の4種が日本に自生しています。
新芽をフキノトウと間違えて食べてしまうケースがあります。
食べてしまうと嘔吐、呼吸困難、心臓麻痺などを起こし
最悪の場合死に至ることがあります。
見分け方
フクジュソウの芽は、基本的にフキノトウよりも小さくて柔らかく
つぼみの中には黄色の花が見えます。
よく見ると周りにはフキノトウ(フキ)とは全く違う
ヨモギに似た細かく裂けた葉が出てきています。
フキノトウの芽出しは中身が詰まっていて固く
少し開いたフキノトウの中には小さい花のつぼみがたくさん詰まっています。
フクジュソウを摘むと、ビニールを燃やしたような変な臭いがします。
グロリオサ
![](https://raidenentertainment.com/wp-content/uploads/2021/07/2558989_s.jpg)
グロリオサは熱帯アジア及びアフリカ原産のイヌサフラン科グロリオサ属の植物の総称で
球茎を持つ落葉性の多年生植物です。
日本では観賞用に栽培されており、露地では、初夏から晩秋に開花がみられます。
球根をヤマイモと間違えて食べてしまい、死亡した事例があります。
食べてしまうと発熱、嘔吐、下痢、背部とう痛を引き起こし
重症になると死に至ります。
見分け方
ヤマイモは表面がゴツゴツして、ひげ根があり、表皮は剥がれにくいです。
グロリオサは表面が滑らかで、ひげ根がなく、表皮は剥がれやすく
表皮の色はグロリオサの方が茶色が濃く、表皮の下は乳白色です。
また、すりおろすとグロリオサはすりおろし大根のような状態になり
粘り気は全くありません。
まとめ
今回は、山菜・野菜と間違えやすい有毒植物を紹介しました。
身近な山菜や野菜にも、よく似た有毒植物が混ざっていることがあるので
安易に口にせず、よく調べたり、知識を深めて採取しましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!